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回想エッセイ
カッパどんは趣味で料理をすることが大好きである。
従って「食」に関する思い出も多い。
 私は料理をすることが好きだが、その根底には、パズル好きがあるらしい。 料理はパズルに通じていると思っている。 違うのは、料理の場合、はっきりとした正解を特定できないところだ。逆に言えば、料理にはいくつもの正解が存在する。

 料理といっても、レシピを見ながら、材料を揃え砂糖や塩の分量を書いてある通りに作っていくのは、義務で作る料理であり、ちっともおもしろくない。1回目はレシピ通りでも仕方がないが、2回目からはそれをアレンジしていく。 これが面白い。そして、これがパズルとなる。

 例えば、最初はアジで作ったものを、カツオで作ってみる。 レシピはネギだったのを、次は玉ネギを使ってみる。塩で味付けしていたものを醤油に変えてみる。味噌に変えてみる。焼いていたのを炒めてみる。煮ていたのを蒸してみる。

 この様にアレンジの方法はいくらでもある。それらの組み合わせは無限だ。こんなに面白いパズルは他には無い。

 料理は、誰にも迷惑をかけず、一人でほくそえむ最高のパズルである。

 オーストラリアに永住する日本人宅に呼ばれて、昼食をごちそうになった。
というよりも、仲の良い友人と昼から宴会になったと言った方が正しい表現なのかもしれない。
そこの奥さんがハムを薄切りにして出してくれた。豚のどの部位から作ったハムかは分からないが、肉の中に小さな軟骨の破片が含まれていた。
私は軟骨が大好きなので、ポリポリと音をたてて食べていると、突然その友人と奥さんが笑い出した。
「そんなもの食べるんですか?」と言うのである。みるとその二人は軟骨をよけて食べていた。
私はちょっとムッとして、 「歯ごたえも味覚の内だよ!」と切り替えした。その日は夜まで、「味覚とはなんぞや」という他愛もない話題で終始した。

味覚というと、舌で感じる甘味、辛味、酸味などの事を指すのかもしれないが、私は、その他にも色々有ると思っている。口に入れる前、或いはその瞬間の「香り」、日本料理が誇る「見た目」、その料理に合った「温度」、そして前述の話題に上った「歯ごたえ、食感」が大きな要素としてある。その他にも、「滑らかさ」「のど越し」「水分の含有率」「音」「箸のつかみごごち」等など、ものをおいしく感じる要素はいっぱいあると私は力説した。

余談であるが、その奥さんが作ってくれたマッシュルームの料理は最高だった。オリーブオイルで、マッシュルームと多めのニンニクの微塵をさっと炒め、塩、コショーで味付けした、料理方法は至極簡単なものであった。その頃の日本ではマッシュルームを食べる習慣はあまりなかったので、未経験の楽しさも手伝ってか、ビールのつまみとして、むしゃむしゃ頬張ったのを覚えている。

 スーパーの食料品売り場で「今が旬!」というキャッチコピーが付けられて食材が並べられている事がある。ところが意外にこの掲示期間が長く、「こんなに旬が長いの?」と思う事がよくある。結局その食材は一年中並んでいたりすることもある。
確かに、ハウス栽培、養殖や冷凍技術、更に輸送網の発達で、食べ物の「旬」がなくなってきている。スーパーの食品売り場に並んでいる野菜や魚の中で、8割以上は一年中お目にかかれるようになっているのではないだろうか。アスパラや、松茸など一部の食材には、かろうじて旬が有るようだが、これとて輸入によって店に陳列される期間がとても長くなった。便利になってきたとも言えるが、何か一抹のさみしさを感じることもある。

 長い一年の中で、ほんの一瞬しか食べられないから有り難味が有り、余計においしく感じたのだ。また、旬の食材で季節を感じたものなのだ。「旬」とはそういうものだったのだ。

 30年ほど前、北海道にいる食品関係の友人と、真剣に話し合った事がある。北海道で採れるアスパラをいち早く東京に運んで売ろうというものであった。当時、北海道と東京とでは、店にアスパラが出始める時期が1ヶ月ずれていた。我々は、東京と北海道をよく行き来していたので気がついた事であった。まだ誰も気がついていないところに目をつけたのだ。更に、外国から輸入すれば、もっと長い期間商売になるのではないかと話は広がった。資金はどうするか。どこで仕入れるのが一番早いのか。売り先としてどこと交渉しようか。輸送に使うトラックをどうしようか…と、かなり細かい点までつめてみたが、結局、もし大量に残ってしまったらどうするのかという話になって打ち止めとなった。

 余談ではあるが、オーストラリアの日本料理店で、現地にいる日本人に一番受けていた料理は、「サンマの塩焼き」であった。もちろん、冷凍にして運ばれてきたものであったが、本当においしかった。私は、何故おいしいのかを関係者に聞いてみた事がある。いわく「旬の一番脂が乗った時のものを冷凍しているから一年中うまいのだよ」という答えであった。

 至極ごもっとも、目からウロコが落ちた。

 ひところモツ鍋が流行った。

 弱肉強食の世界では、強者は捕まえた獲物の内臓からまず食べ始める。危険と背中合わせの自然界では、おいしいものを後にとっておくということはしない。動物がおいしさを感じるかどうかは定かではないから、肉よりも内臓をおいしく感じて最初に食べるのかどうかは分からない。ただ、栄養が有ることは確かだ。植物を食べない食肉獣が肝臓を食べてビタミンを補給するのだ。

 人間も原始時代は、捕らえた獲物の内臓から食べていたに違いない。

 そんなおいしいモツ料理でも、苦手な人は多い。
モツが苦手な人は、その姿を想像してしまうらしい。

 そう言えば、以前、三宅島に遊びに行った時、ウツボの味噌汁が出されたことがあったが、あの斑点のある皮のついたぶつ切りの身を見た時は、下手物食いの私もさすがに一瞬身を反らせたものだ。
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